NOTE
ポリリズムの三つの居場所
Elvin Jones
エルヴィン・ジョーンズは同じ太鼓を叩いているのに、置かれる場所によって違う嵐になる。自分のバンドを率いる屈託のなさ、コルトレーンの探求を後ろから押し上げる緊張、そしてジミー・ギャリソンの型破りな編成でシモンズとラシャの自由な吹奏に応える柔軟さ。三曲を続けて聴くと、リズムそのものより「誰の音楽に仕えているか」でドラムの人格が変わることが分かる。
Track 1 — Deep
深く潜るAngel Eyes
《エンジェル・アイズ》でのエルヴィンは自分のバンドの中心にいて、若い奏者たちを急かさず泳がせている。のテナーサックスがゆったりとメロディを歌う後ろで、シンバルは走らず、むしろ間を作って若手に呼吸させる。のトランペットが入ってくる場面でも手数を増やさず、リーダーとしてのエルヴィンは支配より余白を選んでいるのが分かる。
Track 2 — Deep
深く潜るA Love Supreme, Pt. I – Acknowledgement
A Love Supreme
A Love Supreme, Pt. I – Acknowledgement
John Coltrane — A Love Supreme (1965)
▶
《アコウレッジメント》では立場が一変する。が主題を吹き始める前から、エルヴィンのシンバルは既に渦を巻いていて、のコードの合間を縫うように三連符が積み重なる。の四音ベースパターンが土台を作る中、エルヴィンだけが拍の輪郭を絶えず崩し、探求そのものをリズムで体現している。
Track 3 — Deep
深く潜るAll That We Knew
Jimmy Garrison Sextet
All That We Knew
Jimmy Garrison — Jimmy Garrison Sextet (1964)
▶
ジミー・ギャリソンが名義を張る《オール・ザット・ウィー・ニュー》では、エルヴィンは三度目の顔を見せる。のアルトとのフルートが自由に絡み合う中、彼はビートを刻むというより色を足すように動き、のバリトンサックスが低音を支える隙間にアクセントを差し込む。ここでは主役ではなく、フリーな管楽器のやりとりに反応する耳の良さが際立つ。